福井県済生会病院

洞不全症候群、完全房室ブロック

病気について、症状等

一日におよそ１０万回収縮を繰り返す心臓ですが、その一回一回の収縮に必要な電気活動は、いつも心臓の右上の部分にある“洞結節”という名のところから始まります（→正常刺激伝導路）。洞結節が機能不全に陥ると、洞結節からの電気活動が不安定になり、心臓が働く回数が減少する 結果、しばしば極端に遅い脈となるか、ときには数秒間心臓が完全に停止することになります。それで突然目の前が真っ暗になったり、失神を起こしたり、心不全になって呼吸が苦しくなったりします。治療は、基本的にはペースメーカーという電気を発生する小型の機械を、鎖骨の下の皮膚内に 埋め込む方法で行われます。
完全房室ブロックは、心臓内の電気回路（→正常刺激伝導路）の一部をなす“房室結節”という名の組織が機能不全を起こし、心臓の電気活動がポンプである心室という部分に伝わらなくなる ために、上の洞不全症候群と同様に極端に遅い脈拍となります。症状も洞不全症候群と同様に眼前暗黒感、失神、呼吸困難がみられるようになります。
治療も洞不全症候群と同様、ペースメーカーの埋め込みを行います。

・正常刺激伝導路

正常な心臓の活動が行われるために心臓内に存在する特殊な興奮伝達経路で、心臓の中にある “電気回路”といえます。この刺激伝導系を順序どおり興奮が伝わると、自律的でしかも最も効率的な心臓の収縮が行われます。
心臓のはじめの電気活動は、右上の洞結節から始まり、その電気活動が心房内を通って心房と心室の間にある房室結節に伝わります。この間に心房には、右上から下あるいは左に向かって秩序だった電気の波が伝わり、心房全体が一回収縮します。心房が収縮し終えた頃に、房室結節を降りてきた電気活動は心室内のヒス・プルキンエ系を通って心室全体に波及し、今度は心室全体が一斉に収縮します。これで心臓の１サイクルが終了します。
正常な刺激伝導路以外に、異常な電気回路があったり、または洞結節以外に律動的に電気活動を発生するような組織が心房や心室にあると、それが原因で不整脈が発生します。こうした、異常な電気回路や組織は、生後まもなく出来てしまう場合や、別の心疾患が原因で作られたりします。

診療科