子宮頸がんは防げる
2024.07.29(かけはしvol.123掲載)
若い女性に急増する子宮頸がん
子宮がんには、子宮体部に生じる子宮体がん、子宮頸部に生じる子宮頸がんの2種類があり、子宮がんの約7割を子宮頸がんが占めています。
国内では年間1万人近くの女性が発症し、約3,000人が亡くなっています。
発症のピークは以前は60代でしたが、近年は性の活発化などによって30代後半に早まり、20〜30代の若い女性に増えていることが問題となっています。
HPVワクチンと定期検診で予防を
HPVワクチンの接種によって、HPVの感染を予防することができます。
現行のHPVワクチンで子宮頸がんの60〜70%を防げると考えられており、早い頃から国のプログラムとして接種を取り入れてきた諸外国では、HPV感染や前がん病変の発生の低下が報告されています。
また、20歳以上の女性は2年に1回の子宮頸がんの検診が推奨されています。前がん病変や子宮頸がんを早期発見することで、子宮を温存した治療が可能です。
細胞診検査では、専用の器具で子宮頸部の細胞を採取し、細胞の異常を顕微鏡で調べます。子宮頸がんは自覚症状がほとんどないからこそ、定期的な検診で見つけることが大切になります。
この2つの方法で子宮頸がんは予防できます。
悲しい思いをする女性を
少しでも減らしたい
2013年にワクチン接種後の多様な症状が報道されたことで日本の接種率は急激に下がりました。
いまだに諸外国と比べて非常に低いのが現状ですが、ワクチンとの因果関係を示す根拠は報告されていません。専門機関が継続的に安全性を確認し、健康被害の救済制度もしっかり整えられているので、ワクチンの有効性とリスクを十分に理解した上で本人や家族の接種を検討してください。
近年、子宮頸がんは20代30代の若い女性に増えており、子宮の摘出により子どもを産むことができない女性が増えてしまうことは社会的にも大きな問題です。
ワクチンの接種でHPVへの感染を予防し、症状がなくても定期的に検診を受ける、この二段階の予防で、子宮を残せる可能性は十分にあります。女性の未来を守るために、正しい知識と行動で、防げるがんをしっかり防ぎましょう。