福井県済生会病院の「これまで」と「これから」③
2019.06.19(かけはしvol.100掲載)
済生会病院は、生活困窮者の救済と地域医療福祉支援を核に設立された病院です。福井県は他県に比べ昔も今も生活困窮者が少ない県であるため、昭和16年の創立時以来「福井県にない新しい医療を取り入れ、医療の質を高める」を念頭に、各時代の最先端を走る地域医療を行ってきました。全国や県内に先がけたCTの導入や緩和ケア病棟の開設、北陸初となる地域連携医療など、時代のニーズに合わせて、最良・最適な治療が提供できるよう常に変化し続けています。
近年は少子高齢化が進み、「人生100年」と言われる長寿の時代となりました。この社会に「患者さんが最も幸せな状態でいられる医療」を提供することが、我々の次なる使命だと考えています。また長寿になったが故にがんの発症率も高まり、今や2人に1人ががんを経験する時代でもあることから、「福井県でがんになった方が、いかにつらくない療養を送れるか」を考え、実践していくことも当院の柱となっています。
当院では「患者さんの立場で考える」の理念のもと、職員から上がる声を非常に大切にしているという自負があります。これを一番よく表しているのが、近年のがん患者さんへの支援です。患者さんと身近で接し何を必要とされているかを目の当たりにしている職員がいるからこそ、単に病気を治すだけではなく、患者さんの就労支援や治療に伴う外見の変化へのケア、がんサロン「メディカルカフェ」の開催など、生活面にまで支援を広げているのです。今後も、支援や体制、病棟そのものの形など、必要性に合わせて病院を変化させてゆきます。
また次世代に向け、済生会では「病院を中心とした街づくり」を模索しようとしています。様々な病気の再発予防にも力を入れるとともに、高齢者や障がい者、病気を抱えた方々が安心して働き、暮らせる社会の実現のため、不安を最小限に抑えられる医療サービスを考え、提供していくことを目指します