C型肝炎治療最前線
お知らせ
新薬登場で新局面
全国トップクラスの実績でC型肝炎の完治を目指す
体に負担のない飲み薬で、生活を変えずに治す時代へ
インターフェロンとは異なる新たな治療法の登場
これまでC型肝炎治療でよく知られている治療法に、1990年代から現在まで広く普及しているインターフェロンがあります。一定の効果がある一方で、頭痛や発熱、全体倦怠感、不眠、うつ状態の出現などの副作用があり、C型肝炎治療はつらいというイメージにつながっていました。
しかし、一昨年からC型肝炎の治療に経口剤だけによる方法が登場しました。それまでのインターフェロン療法とはまったく異なる新たな治療法です。昨年末には3番目の経口抗ウイルス薬が発売され、2年前に最初の薬が登場した“手探りの時代”から、治療薬を“選択する時代”に突入したのです。
安全で、効果はほぼ100%
これまでもインターフェロンと経口剤を併用する方法はありましたが、一昨年に出た薬はそれまでの治療法を一新する、インターフェロンを一切使わないものでした。その後、第一世代のものより効果が高く、ほぼ100%という高い完治率の第二世代の飲み薬が昨年発表されました。
この新薬のメリットは、高い完治率はもちろんのこと、副作用など患者さんへの負担が少ないという点も見逃せません。インターフェロン療法ができなかった方や副作用への不安があった高齢の方などにも使用できる画期的な治療法です。
治療期間の短さが特徴
この飲み薬による治療の大きな特徴は、治療期間が短い点です。第一世代のもので6ヶ月、第二世代のものではわずか3ヶ月で終了します。また、飲み薬のため入院せずに日常生活を送りながら治療が続けられるメリットもあります。
インターフェロン療法は残念ながら直らないケースもありましたが、この飲み薬による治療ではほとんどが完治します。しかし、万一飲み忘れたりすると、治療に失敗してしまったり、耐性ウイルスの問題もあります。決して安価ではない薬ですので、しっかり治すことを理解し、治療に臨んでいただきたいと思います。
治療後のフォロー
新薬の登場で新たな局面を迎えたC型肝炎治療ですが、C型肝炎ウイルスが消えたとしても、肝がんの発生がゼロになるわけではなく、4~5%程度あることも知っておいていただきたい事実です。
特に、高齢の男性で、慢性肝炎から肝硬変に進んでいる状態の方はどうしても発がんしやすいといわれていますので、当院でも、丁寧に時間をかけて経過観察を行っていきます。
「体が楽になった」と患者さんの声
実際に治療にあたって、患者さんから「投与の途中の段階でも体が楽になった」「食欲が増した」というお話をうかがいます。よく、C型肝炎はほとんど症状がないといわれますが、新薬がウイルスを減らす段階で、体の調子がよくなるのを実感されるようです。それだけ肝臓が体に占める比重が大きいことを示しています。
C型肝炎治療の最終目的は、単にHCVウイルスを排除するだけではありません。肝機能を正常化することで、肝硬変への進展や肝がんの発症を阻止し、生命予後を改善することこそ、この治療の最終ゴールだと考えています。その意味からも、今後もさらに登場が予測される新薬の治療や治療後のフォローなど、患者さんの立場に立った医療を行っていきたいと考えています。
新薬は効果が高い一方で薬価が非常に高額という側面がありますが、日本肝臓学会肝臓専門医が在籍する医療機関で治療を実施した場合のみ、現在のところ自治体の助成を受けることができます。
この助成により、下記の表のように、最先端の治療が低い自己負担額で可能になるのです。当院は肝臓専門医が6名在籍し、肝炎再診治療の実績は全国トップクラス。助成についてなど肝疾患に関するご相談・お問い合わせは肝疾患相談支援室まで
世帯の市長村民税 (所得割)課税年額 |
自己負担 限度額(月額) |
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235,000円以上 | 20,000円 |
235,000円未満 | 10,000円 |
※入院時食事療養・生活療養標準負担額は別途負担
残された課題、検査と治療の徹底に向けて
一人でも多くの患者さんを救うために 劇的な効果のある薬も、患者さんの治療に使わなければ意味がありません、C型肝炎ウイルス感染者のうち、ご自身がC型肝炎であることに気づいていない方、C型肝炎であることを知りつつ治療を受けていないという方が、まだ100~150万人いるといわれています。この方たちに検査を受けていただき、診察・治療に進めていくことがC型肝炎撲滅に向けた全国的な課題となっています。 福井県では、唯一の肝疾患診療連携拠点病院である当院が先駆けて、C型肝炎の患者さんの検査と治療の取り組みに力を入れています。 |
患者さんへ積極的に働きかけ その取り組みのひとつとして当院が重点をおいているのが、患者さんへの働きかけです。当院では、他の疾患で受診されている患者さんでも、入院時や手術前、健康診断などで行う血液検査(HCV抗体検査)で陽性と判明した方をリストアップし、さらに確定診断ができるC型肝炎の検査・治療を受けていただくよう積極的に主治医を通して説明させていただいています。こうして陽性患者さんを拾い上げ、治療できる患者さんを一人でも増やせるよう努めています。 すでに健診などで検査を受けてC型肝炎キャリアであることを知っていても、これまでの治療に対する拒否感などから敬遠されているかたも相当数いらっしゃると思います。そうした方に対しても「肝炎コーディネーター」とよばれるスタッフが、肝炎ウイルス検査や新しい治療法についての正しい情報を提供し、患者さんが早期に精査、治療にとりかかることができるよう支援を行っています。 看護師や医療ソーシャルワーカーをはじめ多職種のコーディネーターを養成し、気軽に相談に応じられる体制を整えることでC型肝炎治療の啓蒙をすすめることも、肝疾患診療連携拠点病院としての当院の大きな使命であると考えています。 |
採血で感染を検査 肝炎ウイルスへの感染の有無は、血液検査で調べることができます。肝がんの発症率は、治療をせずに放置した期間に比例して高くなります。肝臓は「沈黙の臓器」ともいわれ、発症しても自覚症状がほとんどありません。ご自身が感染しているかどうか不明な方は、一度検査を受けていただきたいと思います。 当てはまる方は一度検査を! □ 過去に肝機能異常を指摘されたことがある □ 1992年(平成4年)以前に、輸血や大きな手術を受けたことがある □ 1992年(平成4年)以前に、輸血や大きな手術を受けたことがある □ 1994年(平成6年)以前に、フィブリノゲン製剤を投与されたことがある □ 血液透析をしている □ 刺青(タトゥー)をしている □ 家族にC型肝炎ウイルス陽性、またはC型肝炎患者がいる |
ご存知ですか?C型肝炎
C型肝炎とは?
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治療を受けているのは3割以下 |
肝がんへ進行するC型肝炎 |
肝がんの原因の65% |
C型肝炎に関するすべてのご相談窓口
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場所 南館1階 肝疾患センター内 肝疾患相談支援室
受付時間 月~金曜日 8:30~17:00(休・祝日を除く)
電話番号 0776-28-1197(直通)