がん治療に伴う外見の変化へのケアについて
お知らせ
集学的がん診療センター
宗本義則 センター長
アピアランスとは「外見」という意味です。アピアランス・ケアは、がん治療の中でも< 抗がん剤や放射線治療に伴う脱毛や皮膚の変色、荒れという外見上の変化のケ アを目的に行われるものです。
従来、外見に変化が起こる事で、患者さんは強いストレスを感じることになり、それ が原因で治療をやめてしまったり、日常生活に不便を強いられたりという問題が ありました。
当院ではその解決に向けて、ウィッグやスキンケア、爪や頭皮のケアなどで患者さ んの外見の変化と悩みのサポートに取り組んでいます。当院南館1階のがん相談 支援センターを窓口に、医師や看護師、栄養士、薬剤師といったチームで対応す ることで、一人ひとりに合った支援を行っています。
がん相談支援センター
河内康恵 看護師長
痛みよりも脱毛に悩む方も
がん患者さんが治療に伴うからだの変化で苦痛に感じるポイントは以下の通りです(表1参照)。ここからうかがえるのは、患者さんの多くがアピアランスの変化に対して苦痛を感じているということです。痛みよりも脱毛がつらかったり、皮膚の変色に苦しまれている姿が浮かびあがってきます。美容上の問題だけでなく、治療をしながら職場や学校などで生活を続けるうえで「従来の自分の姿」を取り戻すことがアピアランス・ケアの重要な役割といえます。
アピアランス・ケアは医療行為ではありませんが、がん患者さんのおかれている状況や症状を理解している医療者として、患者さんの思いに寄り添いながら、本当に必要なことを一緒に考えていきます。
【表1】がん治療に伴う身体症状の苦痛上位
がんだからと、我慢する事は何もありません。
当院では現在、アピアランス・ケアとして脱毛ケアを中心に取り組んでいます。脱毛・ウィッグに関する相談のほかに、メイクでくすんだ肌の色をカバーしたり、眉毛をかいたりという実践的なレクチャーなども行っています。 本来の自分を取り戻すためのアピアランス・ケアですが、おしゃれなウィッグやメイクで自分が明るく晴れやかな気持ちになったり、仕事への意欲がわくことも大切と考えています。副作用はあっても、外見の変化をカバーする方法はいろいろとあります。その方が輝けるケアの方法を一緒に考えていきたいと思います。
当院のアピアランス・ケアの取り組み【相談無料】
○メディカルカフェでのミニレクチャー(不定期開催)
ウィッグの着用方法やメイク方法などのレクチャー、「タオル帽子」の作り方講座なども不定期で開催しています。
○ウィッグ相談会(毎月2回開催)
○専門家による頭皮の相談会(不定期開催)
国際毛髪科学研究会会長 井上先生による相談会。日ごろの生活習慣や食生活の改善も含めた、実践的な頭皮ケアや育毛アドバイスを行います。
○がん相談員による情報提供および相談対応
南館1階がん相談支援センターに常駐のがん専門の相談員が、あらゆるご相談に対応します。どうぞお気軽にお越しください。
※ウィッグの試着は、あらかじめご予約いただくとお待たせすることがありません。
【がんに関するあらゆるご相談窓口】※相談無料
場所 がん相談支援センター(南館1階 集学的がん診療センター内)
受付時間 8:30~17:00(土日祝除く)
電話番号 0776-28-1212
顔の表情をつくるポイント! 自然な“眉”の描き方
治療前に顔の写真をとるなど、本来の眉の場所や形、バランスを覚えておき、自然な眉に仕上げましょう。
標準の眉のプロポーション
- 眉頭 目頭の真上
- 眉尻 小鼻と目尻を結んだ延長線上、目尻の高さは目頭と一直線上
- 眉山 眉頭と眉尻を結び、眉頭から2/3のところ、目尻側の白目の終りの真上
眉を描くポイント
資料提供:資生堂ライフクオリティービューティセンター「がん患者さんのための外見ケアBOOK」