ウェルネスデスク

【健康経営】INVEST IN WELLNESS vol.4制作現場レポート(前編)

『INVEST IN WELLNESS Vol.4』のテーマは【100年時代を軽やかに歩むための「健康」との向き合い方】です。
医療技術の進歩で寿命が伸びたことで、わたしたちはより良く生きることや
ウェルビーイングについて考える機会が増えました。

人生100年時代の幸せとは?健康とは?大きな問いを抱えて、制作がスタートします。
特集でインタビューさせていただいたのは、丸岡町在住の酒井弥生さんです。

取材のきっかけは1冊の詩集

酒井さんを取材させていただくことになったのは、1冊の本がきっかけでした。タイトルは『窓辺にて~現在を生きる貴女へ~』。
酒井さんが乳がんの治療中から20年以上にわたりノートに書き記していた思いをまとめ、自主出版した詩集です。
本の帯には済生会病院の笠原病院長のコメントが添えられています。

42歳で乳がんの手術や治療を経験し、職業訓練や転職、ピンクリボンの活動への参加などエネルギッシュに毎日を過ごしている酒井さん。まずは酒井さんの職場に訪問して、お仕事の様子を見せていただきました。

きっかけ
焼く前のかきもちを包丁で切る酒井さん(写真右)

酒井さんの職場を訪問

現在はどんなお仕事をしているのですか??

酒井さん

障害がある人の就労を支援する施設「はんだか就労支援事務所」でお菓子を作っています。60歳まで保育園の事務で働き、定年後に今の職場に就職しました。

今のお仕事を選んだきっかけを教えていただきたいです。

酒井さん

闘病中に食生活を見直した経験がきっかけになっていると思います。ここで作るお菓子は、自家製粉した福井県産のコシヒカリの米粉やもち米を使用した無添加・無着色のかきもちやおせんべいなんですね。原材料にこだわって、丁寧に手作りしているのが素敵だなぁと。
というのも、乳がんをきっかけに自分の身体の状態に目を向ける機会がぐっと増えたんです。添加物の入っていない食べ物や、旬の作物を食べていると、身体の調子がいいと感じますね。
身体の声をきちんと聞けるようになったのは、病気を経験したからなのかもしれません。忙しく過ごしていると、自分自身をおざなりにしてしまうこともありますからね。

酒井さんの職場
同じ大きさにカットできるよう丁寧に作業をしているそうです

お仕事はいかがですか?

酒井さん

仕事は今の生活の活力になっています。「酒井さん、忙しそうね。大丈夫?」と気遣ってくれたり、「今日もがんばろう!」と励ましてくれたり、仲間とのコミュニケーションが楽しくて温かいです。

そのほかの作業
お菓子作りのほかにもいろいろな作業をしているそうです

午後はご自宅へ

職場を訪ねたあとは、酒井さんのご自宅に移動して、詩集にまとめられていた治療中やその後の転職活動のエピソードについても教えていただきました。

インタビューを受ける酒井さん
1時間ほどお話を伺い、30代から60代を振り返ってお話しいただきました

『窓辺にて』を読ませていただきました。
検査、入院、手術とそのときどきの気持ちが飾らずに綴られていて、病室の情景が浮かぶようでした。

酒井さん

入院中は病状や体調とダイレクトに向き合うので、気持ちがナイーブになることも多かったです。「なんで自分が?」「あのときのアレが原因?」と自分を責めたり、「今回の抗がん剤が終われば良くなるはず」と希望が見えたり、「でも、やっぱりダメかも」と落ち込んだり。治療中に押し寄せてきたいろいろな感情を言葉にまとめました。

本に書かれたなかで、印象に残っているエピソードを教えてください。

酒井さん

退院後に職業訓練に通ったことです。毎日6時間、20代や30代の若い人たちに混ざって勉強しました。わたしはクラスの最年長でした。
クラスメンバーは仲が良くて、一緒に課題や試験を乗り越えていきました。年齢も性別も違う人たちと切磋琢磨できたのは、教室に集まっていた人はみんななにかしらの「挫折」を経験していたからかもしれません。クラスには新卒で入った会社が合わなくて辞めてしまった人、出産で会社を離れた人、転職を繰り返している人などいろいろな背景の人がいました。
全部のカリキュラムが終わった後は、先生とみんなで食事会をしたんです。高校の文化祭の打ち上げみたいで楽しかったですよ。貴重な出会いと経験だったなぁと今も思い出に残っています。

自家菜園にて
最後は自家菜園で撮影。「わたしは食べる専門です」と笑顔の酒井さん

最後に、読者の皆さんにメッセージをいただけるとうれしいです。

酒井さん

病気になると、精神的にも身体的にもショックが大きいので、治療の真っただ中にいる方に「前向きに」とは言えません。でも、病気になったあとも人生が続いていって、良いことも悪いこともまだまだ起きることを、わたしは身をもって実感しました。あがったりさがったりの人生のなかで、かけがえのない自分を大切に過ごしていきたいですね。

乳がんを通過点にして、40代・50代・60代を自分らしく歩んでこられたのですね。お話の節々でこぼれる笑顔がとても印象的でした。
酒井さん、ありがとうございました。

酒井さんへのインタビューを終えて

乳がんを通じて、酒井さんが見つけた「自分らしい生き方」は、わたしたちに身体の声を聞きながら、日々を積み重ねることの大切さを教えてくれます。

【後編】では、済生会病院の笠原病院長にインタビューし、『未病と予防医療』の視点から幸せや健康について深掘りします。お楽しみに。


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