脳動脈瘤は脳の動脈の一部(多くは血管の分岐部)が膨れて大きくなり、壁が薄くなったもので破裂する危険性があります。脳動脈瘤が破裂した病気をくも膜下出血といいます。
くも膜下出血を起こすと、即死する人、病院に運ばれても手を施せない人、治療を受けても回復しない人など、3人に1人は死亡する病気です。また、いろいろな治療の効果があって、後遺症なく社会復帰できる人は3人に1人にすぎません。
脳動脈瘤は20人に1人程度、持っている人がいるといわれていますが、全てが破裂するわけではありません。未破裂脳動脈瘤が破裂し、くも膜下出血をきたす可能性は、日本脳神経外科学会の調査によると1年間に0.95%程度と考えられています。
脳動脈瘤が破裂しやすいかどうかについては、脳動脈瘤の大きさ(大きいものほど破裂しやすい、5mm以上、文献によっては7mm以上)や形(いびつな形のものほど破れやすい)、脳動脈瘤ができている場所などが関係すると言われています。
くも膜下出血を防ぐには、現在のところ、破裂する前の脳動脈瘤を発見して治療してしまうことにつきます。治療法としては、
(1)開頭手術によるクリッピング術、
(2)血管内手術によるコイル塞栓術、
脳動脈瘤が小さい場合、(1)(2)ともに危険性が高い場合、御本人の希望などの場合には経過観察することもあります。
脳動脈瘤のある部位・大きさなどにより治療の難易度が異なり、どちらの治療がよいかはケースバイケースです。いずれの治療法をとっても、術中の破裂や脳血管の閉塞(脳梗塞になることがあります)などの合併症が出て、意識障害・片麻痺・言語障害などの後遺症が残る可能性があります。最悪の場合は生命に関わることすらあります。一般的には、クリッピング術では3%前後、コイル塞栓術では3-5%前後、後遺症が残る可能性があるといわれています。
当院では、精密検査を継続し、治療の難易度、ご自身の希望等を考慮し、今後の方針を決めていきます。
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