胃がん
胃がんについて
がん疾患名
胃がん
日本人に多く、死亡率も高い胃がん
胃がんは胃の内側の粘膜から発生するがんです。塩分の多い食事、タバコとアルコール、最もリスクの高い胃の中に住みつくピロリ菌など、胃の粘膜がさまざまな刺激に晒されることで、がんへと進行すると考えられています。
胃がんは日本人に多いがんで、ヘリコバクターピロリ除菌による予防治療や、最近は胃がんの早期診断・治療の進歩もあり、悪性腫瘍による死亡数において男性が2位、女性が4位に減少しています(図3参照)。死亡数はやや減少していますが、羅患数は全悪性疾患2位の年間8.7万人であり、依然として注意が必要です。
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胃がん治療の決め手は「深さ」と「転移」
30年前までは胃がん治療はすべて開腹による外科手術でしたが、現在は内視鏡治療、腹腔鏡手術、抗がん剤治療など治療方法が増えてきました。これらの中からどの方法で治療するかは、がんの進行度合に応じて検討されます。その大きなポイントとなるのが、がんの「深さ」と「転移」です。胃がんが胃の壁のどの深さまで進んでいるか(T=到達度)、どこのリンパ節まで転移しているか(N=リンパ節転移の広がり)を目安として総合的に病期(ステージ)を診断します(図4参照)。
この中で、治る可能性が極めて高いのが、ステージIAとステージIBです。
ステージIAは、リンパ節への転移がない最も早期の胃がんで、内視鏡による治療が適応されます。内視鏡治療はリンパ節への転移がないごく浅いがんに対して用いられる治療法。その歴史は古く、1984年にEMR(内視鏡的胃粘膜切除術)が開始され、その後、より大きな病変を切除可能なESD(胃粘膜下層剥離術)が開発されてからは、切除成績も向上。普及を遂げています。
当院では北陸地方のトップを切って1987年よりEMRを、2003年よりESDを開始し、現在までに約1000人の患者さんの早期胃がんおよび前がん病変を切除しています。
ステージIBは、リンパ節への転移が認められる深度の浅いがん。病巣がある胃とリンパ節を取り除くことで治すことができ、この手術を腹腔鏡手術で行うケースが増えています。
なお、これ以上進行したがんには従来の開腹手術を、さらに進行した場合には抗がん剤と分子標的剤・免疫チェックポイント阻害剤を併用した治療を実施しています。
定期的な健診による早期発見で根治へ
胃がんは、ヘリコバクターピロリ除菌による予防治療やさまざまな治療法が開発され、治療成績も向上していますが、いずれにしても早期発見が最も重要なポイントです。そのためには腹痛などの症状が出る前の「検診」を継続的に受けることをおすすめします。治る可能性の高いステージIA やステージIBの早期胃がんは自覚症状が現れないので、この段階で治療を行うには、内視鏡などの検査を受け、初期病変を発見をすることが肝要です。
- 検査で見つかった胃がん。
早期に発見することが、回復への近道となる。
楽に治せるうちに治療するためにも、40歳以上になったら、定期的な胃がん検診を受けましょう。