大腸がん
腹腔鏡を使ったがん治療
大腸がんで威力を発揮する腹腔鏡下手術
大腸がんで確かな実績一部の進行がんにも適応
医療技術の発達により、大腸がん手術の手法は、ここ数年で大きく進歩しています。当院では、大腸がんを担当する医師が先進の治療法を取り入れ、チーム医療で大腸がんの診療に取り組んでいます。その一つの手術法が腹腔鏡下手術です。これは、お腹に4~5ヵ所の穴を開け、腹腔鏡(カメラ)や鉗子、電気メスなどを入れて行う手術のこと。お腹を大きく切る開腹手術に比べると、傷が小さく痛みが少ないため、回復も早く身体的負担が軽減されるのが大きなメリットとなります。大腸がんの腹腔鏡下手術の平均時間は約3時間。開腹手術と大差ありません。
当院での腹腔鏡下手術は胆嚢摘出手術から始まり、昭和63年ごろから大腸がんでの適応を開始。他のがん治療に先駆けてスタートしており、実績を経た現在では適応できるケースも徐々に広がっています。当初はごく初期のがんのみで行っていましたが、現在では一部の進行がんにまでその適応は拡大。当院では大腸がんの全症例のうち約1/3を腹腔鏡下手術で治療しています。
腹腔鏡下手術※大腸癌治療ガイドラインの解説より
完内視鏡検査の精度は高く、検査結果をもとに手術でしっかり捉えられる。
曲がりくねった大腸もカメラでより鮮明に
大腸がんの切除は、大腸の腫瘍部とその周りを囲む臓器を切りはがしていくところから始まります。臓器と臓器を隔てる壁は約1~2ミリ。その薄い壁を見極めながら周囲の臓器を傷つけないように腫瘍を切り取っていきます。 大腸は曲がりくねった構造となっており、部位によっては視野が確保しにくいのですが、腹腔鏡を使いモニターで拡大した画像を見ながら手術を行うことで、視野が鮮明かつ良好に。これも腹腔鏡を使った手術の利点です。 大腸は全長15メートルと大きい臓器なのでカメラで捉えやすく、腹腔鏡による手術には適しています。
手術はモニターを見ながら。鮮明な画像で良好な視野が確保できる。
手術は3人一組で。
1人は術者、1人は助手、もう1人は腹腔鏡を持つ。
お腹に開けた穴から切り取った腫瘍部を取り出し、縫合して手術は完了。