乳がん
乳がんについて
がん疾患名
乳がん
20人に一人が罹りアラフォー世代で増加
乳がんは、女性が罹るがんの第1位です。全国で毎年4万人が乳がんに罹り、そのうち1万人が命を落としています。乳がんの罹患率は年々増加しており、日本人女性の20人に一人は乳がんになると言われています。県内でも毎年およそ300人が乳がんにかかっています。
特に乳がんが発生しやすいのが40代を中心とした世代。仕事、子育て、家庭と最も忙しい世代が乳がんに襲われるリスクが高く、罹った本人はもちろん、家族や職場など周囲にまで及ぼす影響は甚大です。
乳がんの予防法はない 早期発見で生存率UP
乳がんはもともと欧米に多いがんですが、ここ数年で日本での罹患率は増加。その一因と言われているのが、食生活の欧米化です。脂っこい食事やホルモン環境の変化で乳がんに罹りやすくなったと見られていますが、その発症原因は今のところはっきり特定されていません。そのため決め手となる予防方法はなく、乳がんから身を守るためには、いかに早期に発見するかが重要に。乳がんはごく初期であれば、ほぼ100%治すことが可能です。
- 乳がんになりやすい人
(ハイリスク) -
- ●年齢40歳以上
- ●30歳以上で未婚
- ●初産が30歳以上(出産経験がない人を含む)
- ●閉経年齢が55歳以降
- ●肥満(特に50歳以上)
- ●良性の乳腺疾患の既往がある
- ●家族(特に母、姉妹)に乳がんになった人がいる
- ●乳がんになったことがある
自己触診によるチェックをはじめ、40代になったら2年に一度は乳がん検診を受けましょう。
変遷を経て進化を続ける乳がん治療
乳がん治療のメインとなるのが、がん細胞を切り取る外科手術です。1980年ごろまでは乳房・胸筋・腋下リンパ節をすべて切除する術式が再発を防ぎ、生存率も高いとされてきました。しかし、女性にとって乳房を切り取ることは精神的なダメージも大きく、胸筋、腋窩リンパ節の切除は日常の運動障害にもつながります。それを改善するため、できるだけ負担の少ない治療法が研究されるように。その結果、がんが転移している場所を見極め、がんのみを切り取ることができれば、切除の範囲の大小に関わらず、生存率に変化がないことがわかり、手術の方法も変化してきました。
およそ15年前には大胸筋温存、15年前に乳房温存、5年前にはリンパ節を残す手術が登場。その手術方法は他のがんと比べても大きい進化を遂げています。
また、手術だけでなく他の治療法を組み合わせた治療法も取り入れられています。たとえば、抗がん剤を使った化学療法。手術のあとで化学療法を行い、がんの再発を防いだり、手術前に抗がん剤でがんを小さくし、切除範囲を小さくするといった手法も用いています。
また、術後に放射線治療やホルモン剤(抗エストロゲン剤など)を用いて再発率を下げるといった治療も。がんの状態に応じて治療の選択の幅も広がっています。
- 乳がん診断を啓蒙するピンクリボン活動
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ピンクリボンとは、乳がんの早期受診を啓蒙・推進するキャンペーン。その発祥はアメリカで、娘さんを乳がんで亡くしたお母さんが同じ悲しみを繰り返さないようにと、ピンクのリボンを手渡したのが始まり。今では世界中で乳がん撲滅のシンボルとなっています。福井でも2007年3月に「福井ピンクリボンの会」が発足。各種イベントを通じて積極的に啓蒙活動を行っています。ピンクリボンを見かけたら、乳がん検診を思い出してください。