緩和ケア
お薬のこと
がんの痛みをとるために用いる痛み止めのお薬は大きく分けて2種類。ひとつは一般的な鎮痛剤(非ステロイド系消炎鎮痛剤)、もうひとつはモルヒネなどの麻薬系の薬(オピオイド)です。
オピオイドについて少しお話をします。
モルヒネや麻薬という言葉を聞くと、「中毒になるのではないか」「この薬を使うようになったらもう治らない」など、大きな誤解をされている方が少なくありません。しかし、オピオイドは医療用の麻薬であり、専門医が決めた量と時間を守って服用すれば決して身体に害になることはありません。WHOで定められ たがん疼痛治療の中心となるもので、世界中で安心して使われているお薬です。
かつて痛み止めは、激しい痛みがある時だけ使用していましたが、今は普通の日常生活を送れることを目標に、作用時間の長いお薬を使って、痛みのない状態を維持していきます。急に痛みが出るようなことがあれば、10分足らずで効果が出るレスキュー薬(お助け薬)をお出しすることもあります。
痛みの感じ方は、人それぞれ違います。一人一人に合ったちょうど良い量のお薬を処方していきます。「痛み止めを極力使いたくない」「これ以上お薬を増やしたくない」と痛み止めを飲まない方もいらっしゃいますが、痛みを我慢しても良いことはありません。痛みのせいで食事が十分にとれなかったり、夜眠れなかったりすると、肝心ながんの治療に支障をきたすことにもなりかねません。痛み止めが増えること=病気が悪くなっていくことではありません。痛みで悩んでいる方は、我慢しないでご相談下さい。