あらゆる観点から「医薬品の適正使用」に貢献しています
薬剤部では現在、26名(パート1名含む)の薬剤師と2名のクラーク(薬局事務員)が、調剤、製剤、医薬品情報の管理と発信、医薬品管理、薬剤管理指導業務など様々な業務を分担して「医薬品の適正使用」に貢献することを目指してまいります。
みなさまのお薬について、最適な薬剤が選択され、正しく使用されているか、期待通りの治療効果が得られているか、あるいは副作用が出ていないかなどをコントロールすることが薬剤師の仕事です。お薬のことなら、いつでもどんなことでもお気軽にご相談ください。
薬剤部長
佐野 正毅
薬剤部では現在、特に「薬剤管理指導業務」と「医療安全対策」に力を入れています。「薬剤管理指導業務」は、入院患者さんのお薬の量や種類が適正かどうか、飲み合わせの悪い薬や食品がないかどうか、アレルギー等の体質に合わない薬が無いかどうか等を確認することから始めます。同時に、患者さんに副作用の兆候が現れていないかどうかもチェックし、副作用の早期発見や防止に努めていきます。不都合な点があれば医師に伝え、お薬が変更になることもあります。
さらに、お薬の飲み方や効能効果、副作用などを十分説明いたします。なぜ飲まないといけないか、どんな副作用があるのか等、患者さんの疑問や不安にすべてお答えし、安心してお薬を飲んでいただくことが大事だと思います。
「医療安全対策」については、リアルタイム薬品管理装置(リテラ)を全病棟に配置したり、調剤室においてもバーコードを利用した監査システムを錠剤、散剤、水剤すべてに導入するなど、全国にさきがけた最先端のシステムを導入しています。
当院の薬剤部では、下記のような業務を行なっております。
主に処方前の入院患者さんに対する業務で、薬に関する情報と管理、他職種との連携などを全病棟に専任の薬剤師を常時配置し、平成24年4月1日より行っています。
主に処方後の入院患者さんに対する業務で、主治医からの依頼に基づき、お薬の「説明」と「管理」を行っています。
外来患者さんや入院患者さんの調剤と服薬説明を行っています。調剤はミス防止のため、バーコード読み取り装置付き携帯端末で、散剤や水剤だけでなく、錠剤もオーダー情報とマッチングしながら行っています。また、中の薬が確認しやすいように裏面が透き通った薬袋を使用する等、医療安全のため、様々な工夫をこらしています。
入院患者さんのお薬は、お薬カレンダーに詰めて病室の壁に掛けています。退院後の服薬練習にもなり、確認もしやすく好評です。お薬カレンダーは院内売店でも販売しています。
主に入院患者さんへの注射薬の払出し(処方通りに注射薬をセッティングして発行する)を行っています。注射薬は医師の処方入力により自動的に注射処方箋が発行され、安全性と効率性を高めるため注射薬自動払出機により、患者さんのお薬をお1人分ずつ1回投与分ごとに専用トレー内へ自動セット化し、病棟に搬送しています。
その後、担当薬剤師は投与量・投与方法など、処方箋の記載内容のチェックを行っています。また、TPN、抗癌剤の混注業務(高カロリー輸液や抗癌剤の混合は、薬剤師がクリーンベンチ内で無菌的に調製しています。)
注射薬自動払出装置
(1施用払出しタイプ)
1回分毎にセットされた
専用注射トレー
クリーンベンチ内での混注作業
病棟においては注射薬在庫管理にリアルタイム薬品管理装置(リテラ)を導入し、電子カルテと接続することにより、迅速な注射薬の変更や医療ミス防止に対応しています。
リアルタイム薬品管理装置(リテラ)
リアルタイム薬品管理装置
注射薬を保管棚から取り出すと、自動的に使用データが把握・管理できる装置。当院が全国的にも先駆けて2001年に導入したもので、薬剤管理の精度はもちろん、安全管理上も大きな効果があります。リテラは各病棟に設置され、そのセクションで必要とされる薬剤が内部に保管されています。
リテラを利用するためには、医師がパソコンで注射を指示した上で、当院スタッフだけが持っている職員コードとパスワードを入力し、該当の患者さんのIDカードを読みとらせる必要があります。この手順を経て、はじめて保管棚の施錠が解除され、内部から薬剤を取り出すことができるのです。そして、必要な薬剤を棚から取り出すと同時に、医事課と薬局にデータが送られます。
つまり、関係者以外が薬剤を取り出すことは不可能であり、薬剤を取り出す度に「誰が」「いつ」「どの薬を」「どれくらい」使用したかが正確に把握される訳です。棚から取り出した薬剤が医師の指示と異なる場合は、画面に警告が表示されますので、医療ミスを防止する上でも、大きく貢献しています。
製剤室では主に院内製剤の調製を行っています。
院内製剤とは、それぞれの病院が独自に作っている特殊な製剤のことをいいます。これには軟膏、ローション、点眼薬、坐薬、消毒薬、注射剤等が含まれます。
通常、医薬品は製薬会社によって供給されますが、治療や診断上必要であるにもかかわらず市販の製品がなかったり、安定性が悪い場合には、医師の依頼により調製しています。
院内で製剤を調製することにより、必要量をその都度用意できたり、短期間での消費が可能といった利点があげられます。さらに処方頻度の高いお薬(主に軟膏ですが)等は、あらかじめ作っておくことで業務の効率化にもつながっています。
医薬品が適正に、また安全に使用されることを目的として、医薬品に関する情報を収集、整理し、医療スタッフや患者さんに提供しています。
入院して検査・手術することが決まったら、入退院センターで説明を行います。その際薬剤師もセンター内で問診を行い、服用中の薬の確認をしています。検査や手術する場合、影響のある薬もありますので事前にチェックを行い、皆さんが安心して検査・手術ができるよう努めています
外来化学療法室(アメニティールーム)で抗がん剤治療を受ける患者さんに対し、説明・指導に加え、体調や検査値等を確認し副作用の管理を行っています。副作用発現時には医師に適切な治療(支持療法)の提案や抗がん剤治療の延期、投与量の調節、薬剤変更等の助言を行い、患者さんが安心して治療に臨めるようにサポートを行っています。
<保険医療機関、保険薬局の先生方へ>
【患者さんのレジメン(治療内容)、状況に関する相談・お問合せや副作用情報連絡時の窓口】
0776-28-6652 薬剤部 「外来化学療法担当者」をお呼び出しください。
受付時間 平日 9:00~16:30(土・日曜日、祝祭日を除く)
服用量によって患者さんが鋭敏に反応しやすいお薬、たとえばテオフィリン製剤、抗生剤、抗てんかん剤、強心配糖体、免疫抑制剤等を服用した患者さんの血液中濃度解析を行い、服用量・服用間隔・副作用などをモニタリングすることにより、薬物の適正使用に貢献しています。
化学合成や、植物、土壌中の菌、海洋生物などから発見された物質の中から、試験管の中での実験や動物実験により、病気に効果があり、人に使用しても安全と予測されるものが「くすりの候補」として選ばれます。この「くすりの候補」の開発の最終段階で必要となるのが、患者さんの同意と協力の基、人での効果と安全性を病院で調べることで、これを治験と言い、そのサポート業務をCRC(治験コーディネーター)らと協力し行っています。こうして得られたデータを国が審査し、病気の治療に必要で、かつ安全に使っていけると承認されたものが「くすり」となります。
当院の薬剤師は医療チームの一員として、以下のような院内の様々な活動に積極的に関わっています。また、専門性を高めるために薬剤部内でもチームを編成し、業務改善とスキルアップに努めています。
医療薬学指導薬剤師
堀田栄治
医療薬学会専門薬剤師
堀田栄治、五十嵐弘幸、齋藤佑輔
がん専門薬剤師
五十嵐弘幸、伊藤幸男
周術期・救急集中治療専門療法士
堀田栄治
NST専門療法士
堀田栄治、伊藤幸男
感染制御専門薬剤師
堀田栄治
抗菌化学療法認定薬剤師
齋藤佑輔、堀田栄治
薬物療法指導薬剤師
堀田栄治
禁煙専門薬剤師
堀田栄治
妊婦授乳婦認定薬剤師
長谷川敦子
糖尿病薬物療法認定薬剤師
水野賀夫
日本糖尿病療養指導士
水野賀夫、向畠卓哉
腎臓病療養指導士
笠松依子
心不全療養指導士
向畠卓哉、水上聖子
スポーツファーマシスト
齋藤佑輔、向畠卓哉
認定実務実習指導薬剤師
佐野正毅、水野賀夫、長谷川敦子、笠松依子、上塚朋子、中根論士
日病薬病院薬学認定薬剤師
長谷川敦子、高橋裕治、好川隆志、山岸利隆、兼井直人、小林幸奈、水上聖子、米村美沙紀
研修認定薬剤師
水野賀夫、向畠卓哉、波多野聡子
Effectiveness of scheduled postoperative intravenous acetaminophen for colon cancer surgery pain, J Pharm Health Care Sci, 4(19) 1-5, (2018)
Antimicrobial Stewardship Team介入とその効果、日病薬誌、第53巻、6号、681-686(2017)
低栄養患者における脂肪乳剤の投与速度と感染症発症リスクの検討、医療薬学、第42巻、第3号、145-150、(2016)
禁煙希望者が禁煙開始に選んだ保険薬局の取り組み、日本禁煙学会雑誌、第9巻、第4号、66-72、(2014)
病棟専任薬剤師による脂肪乳剤の投与速度に関する適正化、日病薬誌、VOL.50、NO.6、753-757、(2014)
Liposomal-Amphotericin Bによる腎機能低下発現における要因解析、医療薬学、第40巻、第2号別冊、94-99、(2014)
保険薬局における禁煙支援状況のアンケート調査、日本禁煙学会雑誌、第8巻、第1号、21-27、(2013)
口内炎、食欲不振で入院したがん化学療法中の患者が感染症を発症した1症例、月刊薬事、Vol54、№11、151(2012)
S-1とワルファリンの薬物相互作用についての検討、日病薬誌、第45巻、10号、1321-1324、(2009)
A newly devised formulation for self-medication enhances interferon-γ production and proliferation of splenic lymphocytes, Biol. Pharm. Bull, 28(10) 1869-1872, (2005)
バーコードリーダー内臓携帯端末を用いた調剤リスクマネジメント、日病薬誌、第41巻、4号、397-400、(2005)
血液透析患者におけるアーガメイトゼリーおよびカリメートの比較検討、医療薬学、第30巻、第9号別冊、584-587、(2004)
薬剤適正使用への取り組み〔Ⅱ〕-処方せん疑義照会のデータベース化とその評価-、日病薬誌、VOL.38、NO.3、41-43、(2002)
臨床薬剤師業務の客観的評価〔Ⅱ〕-糖尿病教室における薬物療法教育の有用性の検討-、日病薬誌、VOL.36、NO.6、43-46、(2000)
臨床薬剤師業務の客観的評価〔Ⅰ〕-MRSA肺炎患者におけるTDM(ABK・VCM)の有効性の検討-、日病薬誌、VOL.36、NO.3、23-27、(2000)
平成20年度 第9回クリニカルパス学会学術優秀賞
「当院におけるエビデンス部会の活動-エビデンスが乏しい分野に対する院内エビデンスの構築にむけて-」
平成22年度 日本病院薬剤師会学術奨励賞
「S-1とワルファリンの薬物相互作用についての検討」
2017年度がん専門薬剤師認定制度委員会優秀症例賞(医療薬学会)
2022年度がん専門薬剤師認定制度委員会優秀症例賞(医療薬学会)
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